須磨寺 Vol.2
源平一ノ谷合戦の史跡
源平の庭
須磨寺の名前が全国的に知られる様になった大きな要因は、1184年源平一ノ谷合戦の舞台となったことで、源氏の大将である源義経が須磨寺に陣を敷いたと伝えられています。
海と山が迫った地形を利用して陣を敷いた平家に対し、義経が山から崖を馬で駆け下りた奇襲に不意をつかれた平家は海へと逃れざるを得ず、源氏の歴史的勝利となったことは有名ですが、この源平の庭は「平家物語」の「敦盛最期」を再現したもの。
源氏の武将である熊谷直実は、元々は平家の武将で源氏に寝返ったため、元々の源氏の武将に負けまいと手柄を欲し、一ノ谷に辿り着いた時には、殆どの平氏は海に逃れた後でした。
しかし、その中で一人だけ波打ち際で逃げ遅れた立派な鎧を着た武者を見つけ、「敵に後ろを見せるとは卑怯なり。返せ返せ。」と呼びかけます。
すると、その武者は振り返り、直実に一騎打ちを挑みましたが、直実が圧勝し、首を取らんと兜を取ると、直実の息子と同じ年頃の美少年であることに驚きます。
名を尋ねたところ、逆に名を聞き返され、「名乗るほどの者ではありませんが熊谷直実と申します。」と答えると、少年は「あなたに名乗るのはよしましょう。あなたにとって私は十分な敵です。どなたかに私の首を見せれば、きっと私の名前を応えるでしょう。早く討ちなさい。」と答えました。
その潔さに胸が詰まり、この若い命を討とうが討つまいが、戦の勝ち負けに関係は無い情勢で、自分の息子のことを考えると、この方の父上が息子が討たれたことを知ってどれだけ嘆かれるかと思い、助けたいと思った直実でしたが、背後を振り返ると梶原景時率いる軍勢がすぐそこまで迫っており、逃がすことは到底困難でした。
「同じことなら。直実が手にかけて、後のご供養をお約束します。」と泣きながら、若武者の首を取った直実は、その腰に一本の笛がさしてあることに気づき、今朝方、平家の陣から綺麗な笛の音色が聞こえてきて、源氏の武将が皆感動したことを思い起こします。
義経腰掛けの松
写真を撮り忘れましたが、この松の木の前に「敦盛首洗池」があり、そこで首を洗い、松に腰掛けた義経が首実検を行い、「このお方は、平清盛公の弟、平経盛公の子、従五位の敦盛公である。」と判断したそうです。
御年17歳の敦盛公と持ち帰られた笛を見て、涙を見せない者はいなかったといいます。
ところで、熊谷直実は後に殺し合わなければいけない戦の世に無常を感じ、法然上人の元で出家することとなります。
宝物館
敦盛の愛用していた「小枝の笛」は通称「青葉の笛」として宝物館に展示されています。
ガラスケースが反射して見にくいですが、「青葉の笛」です。
平家物語で最も涙を誘う「敦盛最期」は、その後、日本人の心に深く染み入り長く語り継がれ、この笛を一目見たいという人が今尚多数、須磨寺を訪れています。
宝物館には一ノ谷の合戦の際に、弁慶が山田庄安養寺からこの鐘を長刀の先に掛けて担いできて陣鐘の代用にしたと伝わっるもので、「摂津矢田部郡丹生山田庄原野村安養寺之鐘」という銘が入っています。
尚、現在使われている梵鐘は、一ノ谷の合戦800年を記念して作成された複製の物です。
小石人形舎
小石人形舎には、アートデザイナーの故木島武雄氏が須磨や各地の小石を集めて、自然の造型をそのまま利用して作り上げた珍しい小石の人形が展示されています。
ココでもやはり源平合戦が作品の中心となっています。
しかし、センサーでいきなり照明が点いたり音声が流れたり人形が動くので、ちょっとビビります。(·∀·)
若木の桜
光源氏が手植えしたと伝わる桜で、弁慶がこれに制札を立てて「一枝を伐らば、一指を剪るべし」と書いたとされ、浄瑠璃の「一ノ谷嫩軍記」に登場する有名な桜です。
弁慶が書いたと伝わる制札は、宝物館に所蔵されています。
句碑
「敦盛最期」の話を聞き、著名な俳人も須磨寺を訪れ、句を詠み、句碑が残されています。
どこかで松尾芭蕉の句も撮ったはずなんですが、見当たらないので代表して与謝蕪村の句。
「笛の音に 波もよりくる 須磨の秋」
そして正岡子規の句。
「暁や 白帆過ぎ行く 蚊帳の外」
コレは、神戸で病気療養中の子規が詠んだ句なので一ノ谷の合戦とは無関係。(·∀·)
青葉の笛歌碑
ボタンを順に押すだけで、敦盛の吹いた青葉の笛のメロディーを奏でることができます。
何とも切ないメロディーが流れるのですが、誰もリズムがわからないという…。(·∀·)
敦盛首塚
本堂から左手に進むと、敦盛の首塚があります。
いや、ちょっと傾いて浮いてね?(·∀·)
尚、胴塚は、討死にした地である一ノ谷にあるそうです。
須磨寺 情報 by 関西御朱印 ブログ
兵庫県神戸市須磨区須磨寺町4-6-8
TEL:078-731-0416
無休
拝観料 無料
拝観時間 8:30~17:00
納経所受付時間 9:00~17:00
初穂料 300円
公式ホームページ 大本山 須磨寺 (sumadera.or.jp)
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本日取り上げた源平一ノ谷合戦の源義経・武蔵坊弁慶御朱印帳です。
寺院・神社版ではありませんが、義経・弁慶ファンの方にとっては大変よろしいかと。